お金をかけずに魅力あるサイトに変えるテクニックを伝授する連載5回目。前回は、サイトの問題点を抽出し改善する、アクセス解析についてお話しました。今回は、プロジェクトを進める上で重要な、クライアントとのコミュニケーションについてです。
よく聞かれる、3つの「ない」
プロジェクトがうまくいかない原因として、デザイナーがよく口にするのが「(デザインへの)理解がない」「時間がない」「予算が少ない」の3つの「ない」である。
クライアントが「理解がない」から、デザインに対して沢山の修正が出る。それに対応していると、スケジュール通りに進まなくて「時間がない」。見積りより作業量が増えているのに、予算はが増えないから「お金がない」。
この3つの「ない」をグチっているだけでは、いつまでも状況を変えることは出来ない。ほとんどの場合、この「ないない尽くし」に陥いる原因は、お互いのコミュニケーションが「足りない」ことにある。
コミュニケーション不足が起こるのは、「このくらい相手も分かっているだろう」と確認の手間を省いてしまうからだ。「言った」「言わない」ほんの小さないきちがいが、大きなトラブルに発展するのだ。
スタート前に「 RFP 」を作る
プロジェクト開始時に肝心なのは、クライアントとデザイナーがゴールを共有することだ。目的地がバラバラで、いいデザインなんて出来るわけがない。しかしキチンと確認したつもりでも誤解があったり、後日要件が追加されたりと、いつの間にかズレてしまうことが多い。
ゴールを見失わないためには、書類にまとめておくことが最も効果的だ。プロジェクト開始時に準備すべき書類を、RFP (Request for Proposal)と呼ぶ。本来、クライアント側が準備するものだが、デザイナーが作成してもいい。むしろその方が、成果物のイメージを明確にできるかもしれない。
凝った資料は必要ない。A4の紙一枚に「制作内容」「費用」「期限」この3つを、お互いが理解できる言葉で整理してあれば十分だ。面倒がらずにRFPを準備することで、後から生じるズレを防ぐことが出来る。
スケジュールは時間単位で
締め切りを守っていても、スケジュールが遅れることがある。例えば、提出のタイミングがその日の朝か夕方かの違いで、次の作業が1日ズレてしまう。この積み重ねは、スケジュールを遅らせるだけでなく、お互いにとって大きなストレスになる。
スケジュール、特に締め切りは、時間単位で決める。例えば「午前10時までに提出」や「午後6時にチェックバック」のように、時間を事前に決めておく。そうすれば、当日連絡がつかない、待たされるといったトラブルが減り、よりスムーズな進行できるだろう。
余計な仕事を増やさない
公開日直前で細かい修正が発生する時、やりとりのミスは致命傷になりかねない。修正事項は画面をプリントアウトして、具体的な内容を書き込む。その際ウェブデザイナーが確認しながら、書き込めばより間違いが少なくなる。修正後の最終確認にも重要だ。
当たり前のこと、簡単なことは、慣れるとつい省略しがちだ。しかし、お互いのやりとりに曖昧さを残さないことが、プロジェクトをスムーズに進めるコツである。面倒だと感じるポイント逃さないことで、よりよいデザインを生み出すことができるだろう。