面倒なことを引きうける

お金をかけずに魅力あるサイトに変えるテクニックを伝授する連載9回目。前回は、ウェブマスターとの協力体制づくりについてお話しました。今回は、発注側に振りまわされないように仕事を進めるポイントです。

やる気を失わないために

公開直前に今更というような大きな修正が入る。確認済のはずだと言ったところで、結局は対応せざるをえない。折角作ったページは水の泡となり、また1からやりなおし。そんな作業で徹夜した経験を誰しも持っているだろう。

同じ轍を踏まないようにと、スケジュールを前倒しにして急いで作業したところで、それもうまくいかない。時間に余裕があるせいで、ダラダラと何度も修正が入る。作業量が増えてしまい結局スケジュールはギリギリ。そんな時は、公開後も作り上げた達成感より、やっと終わったという疲労感だけが残る。

制作サイドは立場上、どうしても受身になりがちである。しかし受発注それぞれの立場で、発揮すべき主体性がある。やらされ仕事という意識では、制作側は一方的に振りまわされ、モチベーションをすり減らすばかりだ。

スケジュールの遅れや作業の手戻りを最小限に抑え「良いものを作りたい」というやる気を失わないために、制作者の主体性はどうやって発揮するべきだろうか。

事前に計画に折り込む

修正は嫌なものだ。誰もが修正なんてしたくないが、一発OKなんてことはまずありえない。ギリギリのスケジュールの中での修正は特に厄介だ。しかし時間がない原因は、その作業が事前に予定されていなかったからである。修正がイレギュラーな対応と思っているならば、それは間違いである。修正は計画に組み込むべきレギュラーの作業である。

いくら納期が短いからといっても、全ての時間を作業に振り分けて、確認や修正の工程を飛ばしてはいけない。事前にスケジュールを立てる時、確認と修正の時間を必ず組みこむ。相手が確認・修正できる時間をとった上で、自分の作業時間を算出しなければ、最終的に自分の首を締めることになるのだ。

やりとりの時間を減らす

修正時間を折り込んでいても、公開直前になって修正の指示がとりとめもなく、メールで送られてくる。それらをいちいち確認していたら、どれだけ前倒しで進めていても、結局は時間が足りなくなる。これは修正作業の量が多いのではなく、確認のやりとりが多いことが問題である。

こちらから提案して、確認のルールを作る。いつ何をチェックしていつまでに修正を戻すべきは文章で伝える。またやり取りをする責任者を明確にし、伝達は書類にまとめて間違いのないようにするのも有効な手段だ。

承認のタイミングを選ぶ

急な修正で一番困るのは、事前に決まったと思っていたことが、先方の都合でひっくり返されることだ。段取りをきちんと決めてスタートして、承認をとったはずなのに、いつのまにか話がかわっている。それを相手のせいにして文句を言ったところで、結局は修正作業から逃げることはできない。

こんな不意打ちを食わないために、直接関係している人だけでなく、間接的に関係する人物を把握し、確認をとるべき人をリスト化しよう。いつどのタイミングで確認をとればもっとも承認を得やすいのか調べる。そして確実に承認を得るための場をセッティングする。

承認の場では、無用な議論を避けるためにも、入念な準備が必要だ。それまでのいきさつをまとめた資料で、参加者の立脚点を同じくする。その後、それぞれの立場で良し悪しを判断することができるようポイントを整理した資料を提示することが大事である。

面倒ごとから目をそらさない

同じ修正でも、事前に準備してやるのと、当日になって急に発生するのでは、疲労の度合いも全く異なる。予想外の出来事に振りまわされないためには、自分の作業に没頭するのではなく、関係する人や変化する状況の把握が最優先事項である。

事前にトラブルを折り込んでスケジュールを立てるのはもちろんのこと、影響しそうな人の動向を常に把握する。そして、制作を進めていく上で作業は同時に行いたい内容でも、時期をずらして承認をもらうなど、相手の都合にあわせた柔軟さが必要である。

曖昧にしていたところに、結局修正が入ってしまう。やらなくて済むかなと思っていた作業は、最後になって頼まれる。そんなことはよくあることだ。受身になりがちな仕事でも、面倒なことを引きうけて主体的に作業を進めることが、最終的に自分の身を守り、信頼を勝ち得ることになる。

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