損な仕事をしないために

お金をかけずに魅力あるサイトに変えるテクニックを伝授する連載11回目。前回は、仕事に見合った報酬を得るために発注側の理解を得る方法をお話しました。今回は、デザイナーが発注側との交渉を有利に進めるポイントです。

前に言ったことなんて覚えてない

公開直前になって「修正」という名のもとに方向性を大きく変えるような指示がくる。「いままで、打ち合わせでさんざん説明したことはなんだったんだ」と無力感に苛まれることも少なくない。

仕方なく連日徹夜の眠い目をこすりながら修正対応したものの、最後の最後で、ファイルのアップ忘れなど軽微なミスから、致命的なトラブルを起こした日には目も当てられない。誰のせいでそうなったと叫んでみても、担当者からの怒鳴り声の前にかきけされてしまうだろう。しかも、追加の作業費など請求しようにも言い出せなくなってしまう。

追加作業になると口頭で説明し、発注側の確認をとったとしても、「とにかくこれでは困る。なんとかしてくれ」の一言で、押し切られて作業するはめになる。しかも後からその事を証明できなければ、追加作業費の請求も「そんなことは知らない、後から言われても予算がない」と、うやむやにされてしまうのがオチである。

まずは記録を残す

ミーティングの議事録をきちんと残すことで、デザイナーが身を守ることができる。その中には、ミーティングでの決定事項、相手に依頼したことと、その期限をアクションリストとして入れる。また、作業にかかる前に、それまでの議論を整理した資料を作る。そして作業範囲を明確に記述する。

いくら事前に確認したとしても、制作を進める中で、様々な修正の要望がでてくる。制作途中での修正については、影響範囲が軽微な文字修正などはともかく、全体の構造に影響するようなものの場合、本当にやるべきなのかどうかを見極めることが必要だ。まして事前決定と矛盾することであれば、当然追加請求の対象となる。

作業が立て込んでくると、すべてを説明して確認する時間がとれないことも多い。だからといって、すぐに作業してしまっては、お金をとることができない。制作に入ってから発生した修正については、まず「課題管理リスト」を作成し記録する。作業をする前に優先順位をつけて「いつまでにやるか」を発注側と確認する。

追加の修正は先送りする

発注側の意向を無視するわけにはいけないが、何もかもを公開前の短時間に詰め込むべきではない。サイトは公開からがスタートなのだから、公開後にゆっくり修正したっていい。「公開後、3日以内に対応する」「2週間後に2次公開をする」など公開後の作業とする。実際には、公開してしまえば、どうでもよくなってしまうことだってよくある。

あらかじめ、公開翌日にミーティングを設定しておくと効果的だ。発注側とデザイナー両者で、それまでの議論と、公開までに行った作業、終わっていない作業の内容を確認するのだ。また、その場で、作業前の記録と、作業中の修正事項を比較して、追加になったことを説明する。デザイナー側が、余裕がない時に、交渉は難しい。しかし、落ち着いて話ができる状況に持ち込めば、お金の話もしやすくなる。

手順を省かない

「急がば回れ」は現場では悠長な理想論に聞こえる。でも実際に、仕事に応じた報酬を得るために先にやるべきは、目前の作業をこなすことではなく、記録をとって整理することである。もちろん「記録」だけで、すべてのトラブルを解決することにはならない。しかし、デザイナーの主張に裏付けを持たせることで、交渉を有利に進めることができる。

事前に手順の説明を行い同意を得る。そして作業中は必ず記録をとる。事後に報告をおこなう。ビジネスでは、当たり前のことなのだが、デザイナーとして作業に没頭すると、面倒でついつい省略してしまいがちである。しかし必要な手続きを省略しないことが、自分の働きを証明し、正当な報酬を得る早道なのである。

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