ユーザに伝わる表現

お金をかけずに魅力あるサイトに変えるテクニックを伝授する連載14回目。前回は、クライアントとコンセプトを共有する上で、陥りやすい間違いについてお話ししました。今回のテーマは、情報が確実に伝わるサイト作りのポイントについてです。

そもそも企業サイトにとって「何を伝えるか(伝える情報)」「どう伝えるか(表現手法)」こそ最も重要な課題である。これらを曖昧にしたまま、サイトを作ってしまうと、ユーザとすれ違いをおこして、情報がまったく伝わらない恐れがある。

伝える情報や表現手法は、サイトの種類によって大きく異なる。サイトの目的が製品の情報を伝えるなのか、商品を販売するのか、利用するユーザが一般の人なのか専門家なのかなど、様々な条件を加味して考えるべきである。ここでは、どんなサイトにも共通する最低限考慮すべき点に絞って解説したい。

ユーザに「伝わる」情報とは?

サイトには情報が十分にあるのにもかかわらず、ユーザにうまく伝わらないのは、なぜなのだろうか。それは、クライアントの「伝えたいこと」とユーザの「知りたいこと」にはギャップがあるからだ。

サイト上の情報取得はユーザに主導権がある。いくら多くの情報を掲載しても、ユーザが知りたい情報に気づかなければ始まらない。またその情報は、ユーザが理解できる表現で、かつ彼らの知りたい順番で提供されなければ、納得しない。短気なユーザはすぐにサイトから逃げてしまうのである。

結論から先に伝える

まず最初の問題は、サイトに情報が多すぎることだ。掲載する情報が多ければ多いほど様々なユーザのニーズに応えられると考える。しかし大量の情報に埋もれてしまい、必要とする情報に気づかなくなってしまうことが多い。

クライアントは、何でも丁寧に説明しようとする。製品の名前から、使われている技術、製品の特徴など。必要な情報はではあるが、すべての情報を詰め込むのではなく、ユーザの立場で掲載する情報を絞り込む必要がある。

ユーザーの欲しているのは、製品やサービスそのものではなく、それを手に入れることによって享受するメリットだ。例えば、今の生活が良くなるか、抱えている問題が解決できるか、もっと便利になるか、仕事が速く終わるか、といったユーザ自身が感じるであろう変化のことである。

要するに最初に知りたいのは「結論」だ。商品の名前やサービスの細かい情報は、その後からしか目に入らない。順序よく説明した原稿とは逆の順番でサイトを構成するのがいい。

少し前の段階から説明する

次に失敗しがちな問題は、クライアントが掲載する情報の優先順位づけをする上で、ユーザの知識レベルを無意識に高く見てしまうことにある。クライアントが接するユーザには熱心な人が多いからだ。

自社サイトにアクセスするユーザは、自分たちの商品に興味を持っていて、会社について良く知っている、業界について予備知識もある。というような前提に立っていることが多い。だから、他社との微細な差異を説明しようとしてしまう。

本来のユーザは、サービスや商品のことを、ほとんど知らない。だから、クライアントにとっては「当たり前」なことも説明しなければならない。知らないこと、興味ないことを前提に、少し前の話題、前提事項を共有して理解を得るべきだ。

根拠を示す

最後の大きな問題は、自分たちがユーザに信頼されていると信じてしまっていることである。大企業のクライアントほど、この傾向は強くなる。

だだでさえ、企業サイトでは、他の会社や第三者の意見の入る余地がないので、情報が独りよがりになりがちである。企業名を冠にした情報提供において、いい情報ばかりを並べたのでは、ユーザからみて胡散臭く見える。なにかを隠しているのではないかと思われて逆効果になることもある。

一方的な情報に見えないようにするには、数値のデータや、第三者評価などを利用するのが効果的である。企業からの一方的な押し付けではなく、客観性を持った内容として、ユーザの納得を引き出すことが必要だ。

大事なのは接点を見いだすこと

クライアントの「伝えたい」とユーザの「知りたい」がマッチした時に情報が伝わる。確実に情報を伝えるためには、沢山の情報を1ページに並べて、ユーザに選択させるのではなく、サイトの情報を1.ユーザが気づく、2.理解して、3.納得する、という3ステップを意識して、ユーザのタイミングにあわせて順番に小出しの情報提供を行うべきである。

デザイナーの役割は、サイトの目的や内容にあわせて、クライアントとユーザの接点はどこなのかを探り、クライアントの持つ情報を、ユーザに伝わる表現へと昇華させることである。それによってクライアントとユーザの距離をずっと近づけることができるサイトができるのだ。

次回は、サイトのパーソナリティを的確に表現し、魅力を向上するデザインについて考えてみたい。

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