お金をかけずに魅力あるサイトに変えるテクニックを伝授する連載17回目。前回は、サイト作りに影響する担当者と背後関係についてお話ししました。今回のテーマは、ユーザに興味を持たせるコンテンツの演出ポイントです。
ウェブサイトのコンテンツを作る時に、他の媒体、特にパンフレットやカタログなど既にまとめられている印刷物を「流用」して作ることが多い。新たに取材したり、情報を整理することなく手早くコンテンツを作れるので、一見効率的に見える。しかしそのことがユーザに逃げられる原因になっている。
既存資料の落とし穴
店頭に置かれるパンフレットやチラシは、手に取ってもらえるように目立つことを重視して作られている。情報も訴求したいもののみに絞られており細かいところは書いていない。店員がフォローすることを想定されているためだ。それをウェブサイトに流用すると、より深い情報を求めるユーザにとって、詳細スペックなど肝心な情報が欠けている全く役立たずのコンテンツとなる。
カタログの情報をカテゴリーに整理してウェブサイトに並べるだけではダメだ。カタログとサイトでは情報の探し方が異なる。分厚いカタログでもパラパラめくることで必要な情報だけを見つけることができる。しかし、その内容をそのまま流用すれば、階層が深くてなかなか情報が見つからないウェブサイトとなってしまう。
さらに、複数のパンフレットやカタログを集めてウェブサイトを作ると、統一感がなくなることが多い。一見同じように見えるものでも、制作時期や制作担当者によって内容や構成が微妙に異なっていることが多い。最大公約数で揃えようとするとあちこちに情報が足りない。製品によって表示される項目が統一されていないと、ユーザは比較することができず不便である。
わざわざウェブサイトにアクセスするユーザには目的がある。すでにパンフレットやカタログから情報を得ていることも多い。そのようなユーザは、ウェブサイトにより深い情報提供を求めている。にもかかわらず使いにくいばかりで、求める情報が見つからないのでは、2度とアクセスしなくなってしまうだろう。
そもそも印刷物を無理矢理サイトにしようとしても無駄である。目的や利用シーンが異なると必要な情報も異なる。情報が掲載されていれば、ユーザが勝手に見つけてくれるわけではない。情報を掲載しておけば良いのという訳ではなく、積極的にコンテンツを創り発信していくことが求められている。
ユーザを満足させるコンテンツとは
ウェブサイト独自のコンテンツには、必要な情報が掲載されていることはもちろん、ウェブサイトならではの表現で、ユーザの興味を引き出すコンテンツであるべきだ。誤解を招きがちなのは、FLASHを使えば、アニメーションが動けば、ウェブらしい表現ということではない。必然性がなければ見向きもされないだけだ。同じ情報を伝えるのも演出次第でその効果はかわってくる。
コンテンツに求められる条件とは、
1.親しみを感じる(視点が共有できる)
2.好奇心を刺激する(新しい世界が広がる)
3.期待に応える(予想以上の反応がある)
このように書くと、趣味や遊びのサイトを想像するかもしれないが、ビジネスで利用するウェブサイトにとっても重要な要素である。ユーザを満足させるウェブサイトになるためのコンテンツ表現について、次回以降、事例を交えて考えてみたい。