コミュニティの甘い罠

お金をかけずに魅力あるサイトに変えるテクニックを伝授する連載19回目。前回は、運営負荷を軽減するコンテンツ更新の止め方についてお話ししました。今回のテーマは、サイトのコミュニティを活性化するためのポイントです。

サイトの情報も一通り揃ってくると、次にユーザからの意見が聞きたくなってくる。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)やブログなどが注目をあびていることを背景に、自社のサイトで同様のコミュニティをやってみたいと考えている担当者は少なくない。

コミュニティへの期待と現実

コミュニティには多くのメリットが期待できる。もっとも大きいのは集客だ。参加したユーザが毎日のようにサイトをチェックするのでリピーターが増える。ユーザが知り合いを呼んでくるから新規のユーザが獲得できるのだ。

ユーザ同士で対話したログは、他のユーザにも有益な情報として参照されるため手間がかからずコンテンツが増える。サイトのサービスや自社の商品へ意見、感想から、サービスの改善につながる新しいアイデアが得られるかもしれない。

このように毎日サイトの運営に悩まされている担当者に、コミュニティは魅力的に映る。しかし、実際にスタートしてみると思ったようにはいかない。

コミュニティを開いたはいいが、いつになっても会員が集まらない。ユーザからの有効な書き込みを期待していたら、自社商品へのクレームやテーマにまったく関係のない書き込みばかり。こうして期待をもって始めてたコミュニティも閉鎖に追いやられてしまうのだ。

規制の多いコミュニティなんていらない

ネットのコミュニティが盛り上がっているのに反して、成功している企業コミュニティは稀である。失敗する理由として最も大きいのは、ユーザが問題を起こすことを恐れるあまり「管理しすぎ」てしまうことだ。

サイトで企業にふさわしくない書き込みができないようにと、コミュニティの話題を企業が一方的に決めてしまう。そんなコミュニティでは、ユーザは対話ではなく押し付けと感じてしまう。

会話の流れに適度な方向付けは必要だが、発言するとすぐに企業担当者が返答してしまうのでは過干渉だ。ユーザどうしが自由に対話できないと、窮屈に感じてしまう。誰もが無理に話す必要はないからユーザは集まらない。

自社商品についてのテーマだけしか用意されていないだけでなく、短期間のビジネス成果を期待して、広告ばかりが目立ったり、ECサイトへの誘導が露骨で売らんがなの態度が見え見えでは、発言したユーザの足も遠退いてしまう。

企業の立場からは、こちらが場を提供しているのだから、テーマを決めるのは当たり前、気に入らない発言は排除していいと考えてしまう。しかし企業に都合のよい話題しか許さないのなら、コミュニティなんてやらないほうがいい。

ユーザ目線で関係作りをすべき

コミュニティを実施する前に、もう一度、なんのために、誰のために、やるのかを考えてほしい。企業の立場で、情報を出したいのであればコミュニティがなくとも、サイトへの情報掲載で十分だ。

ユーザの力でサイトを盛り上げて欲しいのならば、主役であるユーザにゲタをあずけるべきなのだ。そしてユーザの集うコミュニティはユーザにとって居心地のいい場所でなければならない。もちろんいくつもの問題が発生するかもしれないが、辛抱強く対応し育てていく気持ちがなければ、信頼関係を築くことはできない。

良いコミュニティを持つことによって、ユーザの本音を聞くことができる。良い関係を続けることで、ユーザと企業の間に強い絆ができる。これは他メディアからは期待できない効果だ。ユーザが心から楽しめるコミュニティであればきっと成功は後から付いてくるはずである。

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