デザイン範囲外の障害

お金をかけずに魅力あるサイトに変えるテクニックを伝授する連載20回目。前回は、ユーザとの友好な関係を築くコミュニティついてお話ししました。今回のテーマは、サイトをデザインする上で障害となる人間関係や組織についてです。

クライアントからサイトのリニューアルの提案を求められた。サイトを見直してみると確かに問題点だらけだ。重要な問題箇所を指摘したリニューアルの提案をまとめてみると、守られていないのはサイト作りの基本事項ばかりだ。

なぜ、そんな簡単なことも守れない問題の多いサイトになってしまうのだろうか?担当者の見る目がなかったのだろうか?それとも制作していたデザイナーの能力が低かったのだろうか?それもあるかもしれない。しかし良いサイトをデザインする上での障害が、人間関係そのものの中に隠されている可能性がある。

人や組織の混乱はサイトにも現れる

現時点で問題サイトになっているのは、それ相応の事情があるはずだ。サイトがうまくいかない理由には必ず人や組織の問題がついてまわる。思い当たるフシもあるかもしれない、以下のようなことだ。

・社内に専任の担当者がいない
明確な担当部署がなく、たまたまインターネットに詳しいといった理由で担当として任命される。一人で更新しているために、専門的な技術がなく独りよがりなサイトになってしまっている。しかも他の仕事との兼任なのでサイトの更新に手一杯で抜本的な改善ができない。

・上司がサイトに対して興味がない。
今時こんな人がいるのかと思うが、サイトの力を過小評価している人は多い。サイトをあくまでも会社案内パンフレット程度にしか考えてない。だから、ほとんどお金をかけていない。更新もあまりしないし、いきあたりばったりで内容を継ぎ足してきたために複雑なサイトになっている。

・関係者が多く意思統一が難しい。
各部門でバラバラにコンテンツを作っている。全体で統一した基準がないために、サイトに一貫性がない。サイト全体のリニューアルに対してもそれぞれの目指す方向が違っているために、様々に勝手な意見を言って互いに歩み寄ることがないのでまとまらない。

これは、あくまでも一例で、実際はもっと複雑な社内事情がからむこともある。サイトをリニューアルしても、これらの基本的問題の解決にはならない。そして、そんな問題はデザイナーが解決できる範囲を超えていると感じるかもしれない。

しかし、企画やデザインの善し悪しを判断・決定するのはあくまでもクライアントだ。いくら良い提案でも相手が悪ければ実現できないだろう。担当者の時間や予算が足りなければ、結果としてできることは限られてしまう。それどころか混乱に巻き込まれて疲弊するだけかもしれない。

積極的な働きかけが成功につながる

担当者の周りの人間を巻き込むような動きも必要だ。例えば、リニューアルの前にサイトの基礎的な知識をつけてもらうようなレクチャーをする。また競合する他社の成功事例を見せて危機感をあおることが有効な場合もある。

そのような働きかけが、担当者がかわる、上司がかわる、組織がかわる、きっかけとなることもある。逆に、そのような動きがないのなら今すぐに大きな変革をすべきでないという判断もできる。小さな改善による実績を積み上げてから改めてリニューアルをするのでも遅くはない。

サイトのリニューアルを実現させる上での障害は様々である。素晴らしいサイトを作り上げるのは、職人的な技量だけではない。クライアントの現状を知ってデザイン以外の範囲にも積極的な働きかけをすることが成功へつながるのだ。

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