企業サイトを組織で運用するための「Webガバナンス」

Webサイトは企業の正直な姿を映し出す「鏡」

Webサイトを管理していると、「誰が作ったのかわからない」「いつからあるのかわからない」「掲載内容に誤りがある」コンテンツがいくつもあると思います。しかし、「担当部署が違うから」「前任者から引き継いでいないから」などの理由でそのまま放置していないでしょうか。

Webサイトでは、他のメディアと異なり、自由にタイムリーな情報発信ができるようになりました。お客様に対して伝えたい情報の伝達スピードは劇的に向上しました。その反面、情報の誤りや、システムのトラブルなど、伝えたくない情報も、早いスピードで拡散するようになりました。Webサイトは、企業に大きなメリットを与えたと同時に、大きなリスクも背負うことになったのです。

取引先の営業担当者が、連絡が遅く、いい加減な対応をしたり、嘘を伝えるようなことがあったら、そんな会社とは、付き合いたくないでしょう。同様に、Webサイトにもリンク切れがあって欲しい情報が得られなかったり、古いくて間違った情報で混乱するようなことがあれば、お客様から信用を失います。今、企業の製品やサービスを選ぶ時に、お客様がまず最初に利用するのがWebサイトです。Webサイトの品質は企業の評価と直結するのです。

Webサイトに掲載する情報を決めるのも、情報を更新するのも、社内の担当者の仕事です。Webサイトを支える「運用体制」や、守るべき「ガイドライン」が整って始めて「会社の顔」として情報発信が成り立つのです。Webサイトは、企業の正直な姿を映し出す「鏡」です。Webサイトが混乱してわかりにくいのは、社内の組織やルールが混乱しているから、と言っても過言ではありません。

Webサイト運営の歴史を少し振り返ってみましょう。Webサイトの「ガイドライン」が必要になったのは、担当者が増えたからです。最初は広報部や総務部の一人の担当者がコツコツと更新していました。会社案内のパンフレットをページに仕立てたものでした。外部に委託する場合も、一社に委託するのが普通でした。

しかし、この10年でインターネットが普及し、ほとんどの人が使うようになると、いろいろな部署、担当者が関わるようになりました。それぞれが別の制作会社に依頼するようになり、関わる人が増えてきました。そうして違う考え方でコンテンツを増やした結果、全体を管理しきれなくなりました。Webサイトの一貫性が保てなくなってユーザーにとっても使いにくいサイトとなりました。

管理不十分なサイトは、古い情報が表示されてユーザーに誤解を招いたり、キャンペーンの取得データをサーバーに放置した結果、個人情報の漏洩なども起こります。管理されていないサイトはリスクが大きいことが認識されて、カイドライン作りが行なわれるようになったのです。

Webサイトの品質を維持・管理をするための考え方

ガイドラインはコンテンツに一定の縛りを作ります。それは全体最適のために必要なことです。必要だとわかっていても、担当者それぞれに目標や期待することが異なると、場合によっては、必要以上に担当者やビジネスを縛ってしまうことになります。そうなると、担当者同士で利害が対立することもあります。企業の顔となるWebサイトにおいて、部署の垣根を超えて、解決しなければならないことも沢山あります。

そこで「Webガバナンス」という考え方を導入する企業が増えてきました。「ガバナンス」とは、「統治」と訳されます。ガバナンスは組織や社会に関与するメンバーが主体的に関与を行なう、意思決定、合意形成のシステムを意味します。このガバナンスの意味をもとに、「Webガバナンス」という概念が導入されるようになりました。Webサイトの関係者が継続的にWebサイトを管理・運営するための全体最適の仕組みです。

Webガバナンスの実現に必要不可欠なものに、運用時におけるガバナンスチェックがあります。定められたガイドラインが守られているのか、導入したシステムはスムーズに利用されているのかを、日々の運用時にチェックし、ルールに合うように改善していく取り組みが重要です。

ガイドラインを関係者で合意したのなら尊重すべきです。しかし、ビジネスの位置づけや施策の内容によって、ルールに添えない、添わないほうが良い場合もあります。そのような場合は、目的に照らして柔軟に対応すべきです。ガイドラインも一度決めたから不変だ、というのにも無理があります。世の中も、企業のビジネスも、インターネットのテクノロジーも常に変化します。変化に対応するためにガイドラインの定期的な見直しも必要です。

今のガイドラインに規定が無いことや、あえてガイドラインを逸脱する場合、Webサイトの位置づけ目的に立ち戻って、新たなルール作りを行わなくてはなりません。ルールを作るためのルール(検討する組織体制や、変更を承認するプロセス)を事前に定義しておくことが必要です。

Webサイトを全体最適するための「ガイドライン」と、運用に必用な組織、役割、承認プロセスを定義すること。これが企業サイトに必要な「Webガバナンス」という考え方なのです。