Webサイトの成功を裏で支える運営体制づくり

Webサイトが混乱するのは社内が混乱しているから

Webサイトがうまくいかない理由には必ず人や組織の問題がついてまわります。
Webサイトに問題があるのは、社内にそれ相応の事情があるのです。例えば以下のようなこと、思い当たることはありませんか?

1. 社内に専任の担当者がいない
明確な担当部署がなく、たまたまインターネットに詳しいといった理由で担当として任命されてしまった。一人で更新しているために、専門的な技術がなく独りよがりなサイトになってしまっている。しかも他の仕事との兼任なのでサイトの更新に手一杯で抜本的な改善ができない。

2. 上司がサイトに対して興味がない
Webサイトの力を過小評価していて、サイトをあくまでも会社案内パンフレット程度にしか考えてない。だから、ほとんどお金をかけていない。更新もあまりしないし、いきあたりばったりで内容を継ぎ足してきたために複雑なサイトになっている。

3. 関係者が多く意思統一が難しい
各部門でバラバラにコンテンツを作っている。全体で統一した基準がないために、サイトに一貫性がない。サイト全体のリニューアルに対してもそれぞれの目指す方向が違っているために、様々に勝手な意見を言って互いに歩み寄ることがないのでまとまらない。

あくまでも一例で、実際はもっと複雑な社内事情がからむこともあります。Webサイトをリニューアルしても、社内が変わらなければ根本的な問題解決にはなりません。Webサイトが成功するかどうかは、ユーザーの目に触れる表側のデザインではなく、裏側の運営体制作りにかかっているのです。

Webサイトの規模とともに変わる運営体制

企業サイトの規模が拡大する中で、Webサイトの運営を担当者が一人で抱えるのは到底無理な話です。Webサイトの運営は、デザイン事務所や開発会社など社外の協力体制なくしては機能しない状況です。実際に、企業のWebサイト運営はどのような体制で行われているのでしょうか。

1. 集中型
企業サイトの多くは、自社の会社案内パンフレットをそのままHTMLにした「広報サイト」からスタートしています。その頃は、コンテンツ制作をひとつの部署(広報部・総務部)で集中して行っていました。コンテンツの企画を立案し、必要なコンテンツを各部署から収集します。制作から公開までは外注にまかせる場合が多くあります。
全行程を少数のWeb担当者(場合によっては1人)が行います。Webサイトの隅々まで目が届くので、全体のデザインや内容の統一をとりやすいのですが、反面、作業が集中すると優先度の低い情報の更新が後回しにされることがあります。

2. 分散型
その後、Webサイトに掲載する情報が増えてくると、コンテンツ制作を依頼するのではなく、各部署の担当者が行うようになりました。会社概要は総務部、採用情報は人事部、IR情報は経理部、商品情報は販促部というような具合に、社内各部に担当が割り振られました。コンテンツの企画、制作は各部署のWeb担当者が行なうので、新しい情報をすばやく出すことができるようになります。
やりたいことを外注に依頼できるので、各担当者の意図が強く反映されます。
そのため、コンテンツ間の連携やナビゲーションの整合性など、サイト全体の統一感が薄くなる傾向があります。その結果、サイトはまるで会社の組織図を鏡に映した縦割り構造となりました。

3. 主管型
Webサイトの一体感が失われることで、「Webガバナンス」という考え方が生まれ、全体管理の必要性が認識されてきました。そこで、コンテンツ制作を複数部署で担当するものの、全体の調整を行う主管部門を設けるようになります。
コンテンツの企画、制作は各部署の担当者が行い、管理部門は、企画から加わり、公開時のチェックを行います。サイト全体のデザインや内容の統一をとりながら、積極的な情報発信ができるようになります。

最初は、小規模に1からスタートし、関わる人数が多くなると2に移行し、現在、コンテンツ管理の必要性から体制を見なおして3へと移行しているケースが多く見られます。移行の際に、ほとんどの企業がぶつかる課題は、現状サイトの人員では回せない「リソース不足」です。

もし、リニューアルのプロジェクトが立ち上がったら、あなたは、周囲の人間を巻き込むための根回しが必要です。例えば、関係者にWebサイトの基礎的な知識をつけてもらうようなレクチャーを行います。そこでは、競合する他社の成功事例を見せて危機感をあおるようなことを狙います。そのような働きかけが、周りの人にやるべきことを認識させ、Webに接する態度がかわる、上司の見る目がかわる、そして組織がかわるきっかけとなるのです。

「作業」ではなく「権限」を委譲する

リニューアル公開後、実際の業務がスムーズに流れるようになるまでには時間がかかります。目標とする運営組織が機能するには、基本業務で少なくとも3ヶ月、末端まで浸透するには1年程度はかかることを覚悟しなければなりません。だからこそ、早くから周囲の人を巻き込んでおく必要があるのです。

組織作りを進めていく中で、よくある問題は、Webマスター自身が「人にやらせるより自分がやったほうが早い」といってなかなか作業を手放さないことです。必要なのは、作業ではなく「権限」を委譲することなのです。

他の人に作業を移すときに、今まで自分がやってきたやり方を、そのまま同じように継承させようとすると、失敗します。やり方を考えるのも担当者に任せなければなりません。それまでと、やり方が異なるならば新しいやり方を尊重した方が良いでしょう。

最初は、うまくいかないことが多いかもしれません。だからと言ってすぐに諦めて元に戻してしまうのではなく、新しいやり方を、担当者全員で作り出すようにすべきです。やり方は組織にあわせて変えて行かなければならなりません。

Webサイトの運営方法に正解はありません。それぞれの企業に合ったやり方を見つけて、組織をまとめあげるのは、もっとも大事なWeb担当者の役割なのです。

Webサイトを、そして企業をより良く変えていくためには、前例主義に陥ってはいけません。変革の第一歩として、まず自分の仕事から変えていくことを心がけなくてはなりません。

Webサイトは会社を変える

今や、会社全体の動きを把握するのはWebサイトを見るのが手っ取り早い状況となっています。
Webサイトを持ったことで、情報受発信の質・量・スピードが劇的に変化し、否応無く企業の組織や業務フローは変革を迫られるのです。

これまで企業では役割に応じて縦割りの組織になっていて、横のつながりが薄いのが普通でした。しかし、Webサイトの運営によって、縦割りでは対応できない、効果が上がらないという問題が出てきます。Webサイトを有効活用するには、これまで以上に社内のコミュニケーションを密にすることが重要になります。

質のよい情報が社内で集約されることによって、より有益な情報を社外に発信できます。積極的に情報発信できる企業だけが、今後、さらにユーザーとのコミュニケーションを活性化させ、企業のブランディングを高めていくことができるのです。