ウェブサイトが変革を迫る
インターネットが普及する以前、企業がユーザに対してメッセージを発信するには、メディアや他人の手を借りる必要があった。まして、企業がユーザから直接声を聞ける機会はほとんどなかった。
インターネットが行き渡ることで、企業はウェブサイトを使ってメッセージをダイレクトにユーザに届けることができるようになった。それは、迅速で誤解の少ないコミュニケーションが可能にした。ユーザとの相互のやりとりの中で見えなかった新しいニーズの把握にも役立つものだった。
ウェブサイトは社内の情報共有にも変革を起こした。縦割りの組織は横のつながりが薄いが、ウェブサイトの更新によって、自然と情報が集まるようになる。今や、会社全体の動きを把握するのはウェブサイトを見るのが手っ取り早い。
ウェブサイトを持ったことで、情報受発信の質・量・スピードが劇的に変化し、否応無く企業の組織や業務フローは変革を迫られる。その変化は、企業にとって苦しいものであるが立ち向かうしかない。もう過去には戻れないのだ。
初心を新たに
ウェブサイトを使って情報発信することは、最初はどの企業もチャレンジだった。ウェブマスターはそのチャレンジの先頭に立つ存在だった。いかにユーザのためになる情報提供をするか。そのためになにをしたらいいのか日々考えて新しいコンテンツを生み出してきた。
しかし、コンテンツの量が増えて作業に追われるようになると、新しいコンテンツよりも今あるコンテンツを継続して守ることが目的となっていく。企業がウェブサイトに本格的に取り組みはじめたのは、ここ5年ほどにすぎない。そんな短期間で、現場では前例主義がまかりとおるようになってしまっている。
まわりの状況は常に変化している。現状を見据え変化に敏感に対応しなければ
置いていかれてしまう。もういちど、初心に立ち戻ってサイトの意味、コンテ
ンツの意味を見なおしてみるべきではないか。
ウェブマスターは改革者たれ
ウェブサイトが広く浸透した今こそ、ユーザとのコミュニケーションをより深くしていくチャンスだ。ユーザに伝わる情報発信には、常にユーザの視点でウェブサイトを再構築することが必要だ。
そのためには社内のコミュニケーションを密にすることが重要だ。質のよい情報が集約されることのみ、より有益な情報を社外に発信できる。企業からの積極的な情報発信は、ユーザとのコミュニケーションを活性化させ、企業のブランディングによい効果を生み出すのである。
ウェブサイトを、そして企業をより良く変えていくために、ウェブマスターは守りに入ってはいけない。前例主義に染まってはいけない。一定の仕事をこなすことの安心感に浸ってはいけない。変革の第一歩として、まず自分の仕事を変えていかなければならない。